
亡くなった家族の金歯、歯科治療で外した古い詰め物、壊れた金属アクセサリーの断片。これらを「ゴミ」として捨てている方もいますが、実は貴金属買取の対象になるものばかりです。2026年の金相場は1グラムあたり26,000〜29,000円台の歴史的高値で推移しており、金歯1本で1万〜3万円前後の買取額が期待できるケースもあります。この記事では、金歯をはじめとする「意外な貴金属買取の対象品」の買取事情を、最新の相場データとともに解説します。
目次
金歯が貴金属として買取できる理由
金は口の中でも劣化しない
金歯が買取の対象になる最大の理由は、金という素材の安定性にあります。金は化学的に極めて安定しており、口腔内で何十年使用されても、素材としての価値は変わりません。酸やアルカリに侵されず、錆びることもないため、歯科治療後に外された金歯であっても、溶かして精錬すれば純金として再利用できるのです。
実際に、歯科医院では数十年前に装着された金歯が治療時に外されることがありますが、金の純度や品質は装着時とほぼ変わりません。これは金が持つ「イオン化傾向が極めて小さい」という化学的特性によるもので、唾液や食品の酸にさらされ続けても腐食しないのです。この特性こそが、金が歯科材料として長年使われてきた理由であり、同時に中古の金歯にも十分な買取価値がある根拠でもあります。
買取価格は「重さ×純度」で決まる
金歯の買取価格は、指輪やネックレスと同じく「重さ(グラム)×純度×当日の金相場」で算出されます。刻印がない金歯であっても、買取業者はX線分析機(XRF分析装置)を使って正確な純度を測定するため、問題なく査定が可能です。
金歯の純度と2026年の買取相場
金歯に使われる金の純度
歯科治療で使われる金合金には、主に以下の3つの純度があります。
| 純度 | 金含有率 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| K20(20金) | 83.5% | 歯科用金合金(タイプ3・4) | 最も金含有率が高い歯科用合金 |
| K18(18金) | 75.0% | 歯科用金合金(一般的) | 硬度と加工性のバランスが良い |
| K14(14金) | 58.5% | 歯科用金合金(安価タイプ) | 金含有率はやや低いが買取対象 |
| 金パラ(金銀パラジウム合金) | 12%前後 | 保険診療の銀歯 | 金含有率は低いが買取可能 |
2026年の金歯買取相場
2026年は金相場が歴史的高値を更新し続けています。田中貴金属工業や三菱マテリアルの公表データによると、2026年1〜3月の金小売価格は1グラムあたり26,000〜29,000円台で推移しています。
| 純度 | 1gあたりの買取目安(2026年3月時点) | 金歯1本あたりの目安(2〜5g想定) |
|---|---|---|
| K20(83.5%) | 約21,000〜24,000円 | 約42,000〜120,000円 |
| K18(75.0%) | 約19,000〜21,000円 | 約38,000〜105,000円 |
| K14(58.5%) | 約15,000〜17,000円 | 約30,000〜85,000円 |
| 金パラ(12%) | 純度に応じて数百〜数千円 | 数百〜数千円 |
金歯1本あたりの重さはおおよそ2〜5グラムとされています。ただし、これは金歯全体の重さであり、実際の金の重さは純度を掛けて計算します。いずれにしても、2026年の高値相場では、金歯1本でも1万円以上の買取額が十分に期待できる水準です。
金歯の買取でよくある疑問
歯がついたままでも売れるのか?
結論から言えば、歯や接着剤がついたままの金歯でも買取可能です。バイセル、なんぼや、買取大吉、リファスタなどの大手買取業者は、歯や接着剤が付着した状態での買取に対応しています。買取業者側で精錬・分析を行うため、事前に歯を取り除く必要はありません。
変形・破損していても売れるのか?
金歯が曲がっていたり、一部が欠けていたりしても買取は可能です。金は溶かして再利用するため、形状は買取価格に影響しません。重さと純度が価格を決める唯一の要素です。
銀歯(金パラ)も売れるのか?
保険診療で使われる銀歯は、正式には「金銀パラジウム合金」(通称:金パラ)と呼ばれ、金を12%程度含んでいます。金パラも買取対象ですが、金含有率が低いため1本あたりの買取額は数百円〜数千円程度です。ただし、パラジウム自体の価格も高騰しているため、まとまった量があれば意外な金額になることもあります。
なお、2024年10月の歯科診療報酬改定により、保険診療ではCAD/CAM冠(樹脂製)の適用範囲が拡大され、金パラの使用量は減少傾向にあります。しかし、過去に装着された金パラは依然として多くの方の口の中に残っており、治療のやり直しや抜歯の際に取り出されることがあります。金パラに含まれるパラジウムは1グラムあたり10,000円前後で取引されることもある希少金属であり、金とパラジウムの両方の価値が評価される点を知っておくと、売却時の交渉にも役立ちます。
金歯以外に買い取ってもらえる意外な貴金属
金歯だけでなく、以下のようなアイテムも貴金属買取の対象になります。
| 品目 | 含まれる貴金属 | 買取可否 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 金歯・金冠 | 金(K14〜K20) | 可 | 歯付きでもOK |
| 銀歯(金パラ) | 金・銀・パラジウム | 可 | まとまった量で値段アップ |
| 歯科用スクラップ(削り粉) | 金・パラジウム | 可 | 歯科医院・技工所から |
| 壊れたアクセサリー | 金・プラチナ・銀 | 可 | 石が外れていてもOK |
| 片方だけのイヤリング・ピアス | 金・プラチナ | 可 | ペアでなくても買取可 |
| 金杯・銀杯 | 金・銀 | 可 | 表彰・記念品として受け取ったもの |
| 金縁メガネ | 金 | 可 | フレーム部分の金を評価 |
| 万年筆のペン先 | 金 | 可 | K14〜K18が一般的 |
| 工業用貴金属スクラップ | 金・銀・プラチナ・パラジウム | 可 | 基板・接点など |
| 仏具(金メッキ以外) | 金 | 可 | 金製の仏具は高額になることも |
「これは売れないだろう」と思い込んでいるものの中に、価値のある貴金属が紛れていることは珍しくありません。遺品整理の場面では、金歯や金縁メガネ、金杯がよく見落とされます。

金歯を売る方法と業者の選び方
売却先の比較
| 売却先 | メリット | デメリット | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| 貴金属買取専門店(なんぼや、買取大吉など) | 相場に近い価格、即日現金化 | 店舗に行く手間 | 確実に高値で売りたい人 |
| 総合買取店(バイセル、おたからやなど) | 出張買取対応、他の品と一緒に査定可能 | 専門店よりやや安い場合あり | 遺品整理で他のものも売りたい人 |
| 歯科金属専門業者(フジデンタル、JPメタルなど) | 精密分析で正確な純度測定 | 主に歯科医院向け | 金パラや歯科スクラップを大量に売る場合 |
| 質屋 | 即日現金化、査定が速い | 買取価格がやや低め | 急いで現金化したい人 |
高く売るための3つのコツ
第一に、金相場が高いタイミングを見計らうことです。金相場は日々変動しており、田中貴金属工業や三菱マテリアルのサイトで毎日の小売価格を確認できます。2026年は高値圏が続いていますが、数百円の変動で買取額に差が出ます。
第二に、複数の業者に見積もりを取ることです。業者ごとに手数料や精錬費の差し引き方が異なるため、同じ金歯でも買取額に数千円の差が生じることがあります。最低でも2〜3社に査定を依頼しましょう。
第三に、他の貴金属と一緒にまとめて売ることです。金歯単体よりも、壊れたアクセサリーや金杯など他の貴金属と合わせて出した方が、トータルの査定額が上がる傾向にあります。
近年では、金相場の高騰を受けて「押し買い」と呼ばれる悪質な訪問買取の被害も増加しています。2025年度の国民生活センターへの貴金属関連の相談件数は前年比で増加傾向にあり、特に高齢者が被害に遭うケースが目立っています。安全に金歯を売却するためには、信頼できる業者の見極め方と、トラブルに遭った場合の対処法を知っておくことが不可欠です。
遺品整理で金歯が見つかったときの対処法
火葬後の遺骨から金歯が出てくるケース
意外と知られていないのが、火葬後の遺骨収集(骨上げ)の際に金歯が見つかるケースです。金の融点は約1,064度ですが、火葬炉の温度は800〜1,200度と幅があり、炉の温度設定や部位によっては金歯が溶けずに残ることがあります。火葬場のスタッフが金歯を見つけた場合、遺族に返却してくれるのが一般的です。ただし、事前に「金歯があれば返してほしい」と伝えておかないと、そのまま処分されてしまう可能性もあるため、火葬前に葬儀社に確認しておくことをおすすめします。
遺品整理業者に任せると金歯が見落とされることも
遺品整理を業者に依頼する場合、金歯や小さな貴金属パーツが「不用品」として処分されてしまうリスクがあります。遺品整理業者の中には貴金属の知識が乏しいところもあり、金歯や金縁メガネの価値に気づかないまま廃棄してしまうことがあるのです。遺品整理を依頼する前に、故人が金歯を使用していたかどうかを確認し、貴金属類は自分で選別しておくか、貴金属買取にも対応している遺品整理業者を選ぶようにしましょう。
故人の金歯を売ることに抵抗がある場合
「亡くなった家族の金歯を売るのは心理的に抵抗がある」という声は少なくありません。しかし、金歯は歯科治療のための医療材料であり、故人の思い出の品とは性質が異なります。遺品整理の専門家によると、形見として残すものと実用的な資産として処分するものを分けて考えることが大切です。売却して得た資金を法要や供養に充てるという選択をされる方も多くいらっしゃいます。
金歯買取でよくあるトラブルと回避策
査定額が相場より著しく低い
貴金属買取で最も多いトラブルが、相場からかけ離れた低い査定額を提示されるケースです。金の小売価格が1グラム28,000円台であっても、買取業者によっては手数料や精錬費を差し引いて、実際の買取価格が相場の50〜60%程度になることがあります。対策としては、事前に田中貴金属工業のサイトで当日の金買取価格を確認し、提示された査定額が妥当かどうかを自分で判断できるようにしておくことです。
訪問買取での強引な勧誘
国民生活センターには、貴金属の訪問買取に関する相談が毎年数多く寄せられています。典型的な手口は、「不用品を買い取ります」と訪問してきた業者が、金歯やアクセサリーなどの貴金属を相場より著しく安い価格で買い取ろうとするものです。訪問買取にはクーリングオフ制度(契約から8日間)が適用されるため、万が一不本意な取引をしてしまった場合でも取り消しが可能です。ただし、店舗に自ら持ち込んだ場合はクーリングオフの対象外となる点に注意してください。
手数料の後出しに注意
「査定無料」を謳っていても、実際の取引時に精錬手数料、分析手数料、目減り分の差引きなど、さまざまな名目で手数料を差し引く業者が存在します。事前に手数料体系を明確に確認し、「手数料込みの最終買取価格」がいくらになるのかを書面で提示してもらうようにしましょう。手数料無料を明示しているバイセルやなんぼやなどの大手業者を選ぶのも一つの方法です。
金歯を売却した場合の税金について
譲渡所得として申告が必要になるケース
金歯を売却して得た利益は、所得税法上「譲渡所得」に分類されます。ただし、譲渡所得には年間50万円の特別控除があるため、金歯の売却益が50万円以下であれば申告の必要はありません。
金歯数本の売却であれば50万円を超えることは稀ですが、他の貴金属の売却益と合算して年間50万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
買取業者からの支払調書
1回の取引で200万円を超える貴金属の売却があった場合、買取業者は税務署に「支払調書」を提出する義務があります。金歯単体で200万円を超えることはまずありませんが、他の貴金属とまとめて売却する場合は注意してください。

よくある質問
Q. 歯医者で外してもらった金歯はそのままもらえるのですか?
歯科治療で外した金歯は、患者本人の所有物です。「金歯を持ち帰りたい」と歯科医に伝えれば、返却してもらえます。事前に伝えないと廃棄されてしまう場合があるため、治療前に確認しておきましょう。
Q. 入れ歯に金属のバネがついているのですが、これも売れますか?
入れ歯のクラスプ(金属バネ)部分が金合金やコバルトクロム合金であれば買取対象になる場合があります。ただし、入れ歯の樹脂部分は買取対象外です。金属部分のみを分離する必要がありますが、業者側で対応してくれるケースがほとんどです。
Q. 金歯の買取は郵送でも対応してもらえますか?
なんぼや、リファスタ、ゴールドプラザなどの買取業者は、郵送(宅配)での金歯買取に対応しています。無料の宅配キットを送ってもらい、金歯を梱包して返送するだけで査定が完了します。査定額に納得できなければ、返送料無料で返却してもらえる業者を選ぶと安心です。
Q. 亡くなった家族の金歯を売る場合、何か手続きは必要ですか?
特別な手続きは不要です。金歯は相続財産の一部として扱われますが、一般的な買取業者での売却に際して、相続を証明する書類の提出は求められません。ただし、相続税の申告が必要な場合は、金歯も含めて相続財産の総額に計上する必要があります。
Q. 金メッキの歯や金属冠は買い取ってもらえますか?
金メッキは表面に薄い金の層をコーティングしたものであり、含まれる金の量が極めて少ないため、買取不可または非常に低い評価になります。ただし、自分では金メッキか金合金かの判別が難しいため、まずは査定に出して確認してもらうことをおすすめします。
Q. プラチナの歯科金属も買取対象ですか?
プラチナ(白金)を含む歯科用合金も買取対象です。プラチナの買取相場も2026年は高値で推移しており、プラチナ含有の歯科金属は金歯と同様に重さと純度で評価されます。
Q. 金歯を売るのに身分証明書は必要ですか?
古物営業法に基づき、貴金属の買取時には本人確認が義務づけられています。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの身分証明書が必要です。宅配買取の場合はコピーを同封するか、オンラインで本人確認を行います。
金歯を売却するまでの流れ【5ステップ】
金歯を買取に出す際の具体的な手順を、5つのステップで解説します。初めて貴金属を売却する方でも迷わないよう、順を追って確認していきましょう。
ステップ1:金歯の純度と重さを把握する
まずは手元の金歯がどの程度の純度なのかを確認します。歯科医院の診療記録や領収書に金合金の種類が記載されていることがあります。分からない場合でも、買取業者がXRF分析装置で純度を測定してくれるため、事前に正確に知る必要はありません。重さについては、家庭用のキッチンスケール(0.1g単位)で大まかな目安を確認できます。
ステップ2:当日の金相場を確認する
田中貴金属工業や三菱マテリアルの公式サイトで、当日の金小売価格・買取価格を確認します。金相場は平日毎日更新されるため、査定に出す当日の価格を把握しておくことで、提示された買取額が適正かどうかを判断できます。2026年4月現在、金小売価格は1グラムあたり28,000〜30,000円台で推移しており、買取には非常に有利な相場環境です。
ステップ3:複数の業者に査定を依頼する
最低でも2〜3社に査定を依頼し、買取価格を比較することが重要です。店頭査定に加え、LINEやメールで写真を送るだけで概算査定を受けられる業者も増えています。宅配買取を利用する場合は、送料・返送料が無料の業者を選ぶと、査定額に納得できなかった場合でもリスクなく他社と比較できます。
ステップ4:身分証明書を用意して売却する
古物営業法に基づき、貴金属の買取には本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)の提示が必要です。宅配買取の場合は、本人確認書類のコピーを同封するか、スマートフォンでのオンライン本人確認(eKYC)に対応している業者もあります。18歳未満の方は原則として貴金属の売却ができないため、保護者の同伴が必要です。
ステップ5:売却記録を保管する
売却後は、買取業者から受け取る買取明細書や領収書を必ず保管してください。年間の貴金属売却益が50万円を超えた場合は確定申告が必要になるため、売却日・売却額・業者名が記載された書類は少なくとも5年間は保管しておくことをおすすめします。
まとめ:捨てる前に査定を受けてみよう
金歯や金属スクラップは見た目で敬遠されがちですが、2026年の金高値を考えると、十分な買取額がつく貴金属です。K18の金歯なら1本で3万〜10万円台の査定が出ることもあります。
金歯の買取は決して特殊な取引ではなく、指輪やネックレスと同様に「貴金属の売却」の一種です。歯がついたままでも、変色していても、1本だけでも査定に出すことができます。特に2026年は金相場が歴史的な高水準にあり、数年前なら数千円だった金歯が、現在は1万円以上の買取額になることも珍しくありません。まずは無料査定を利用して、手元の金歯にどれくらいの価値があるのかを確認してみてはいかがでしょうか。
遺品整理や歯科治療後に出てきた金歯は、捨てる前に買取業者に見てもらってください。複数社に見積もりを取り、金相場の高い日を選んで売却すれば、思わぬ臨時収入になります。