
不用品やブランド品を買取に出して得たお金に、税金はかかるのか。生活用品の売却は原則として非課税ですが、品目や金額によっては課税対象になることがあります。本記事では、国税庁タックスアンサー(No.3105、No.3152、No.3202)の内容に基づき、品目別の課税ルールと確定申告が必要になる基準を整理しました。税金に関する内容のため、個別の判断は税理士や所轄の税務署にご相談ください。
目次
生活用品の売却は原則として非課税
国税庁タックスアンサー(No.3105「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」)によると、「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得」は非課税とされています。つまり、日常生活で使っていた家具、家電、衣類、日用品などを買取に出して得たお金には、原則として所得税はかかりません。
この非課税ルールは、生活に必要な物を売って得たお金にまで課税するのは酷だという考えによるものです。メルカリやリサイクルショップで不用品を売って数千円から数万円の収入を得た程度なら、基本的に確定申告の必要はありません。
ただし「30万円超」の貴金属・宝石・美術品は課税対象
生活用動産であっても、重要な例外があります。国税庁タックスアンサーには「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます」と明記されています。
つまり、1個(または1組)の売却価格が30万円を超える貴金属、宝石、美術品、骨董品などを売った場合は、生活用品であっても課税対象の「譲渡所得」となります。
品目別の課税ルール一覧
| 品目 | 課税・非課税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 衣類・靴・バッグ(30万円以下) | 非課税 | 生活用動産 |
| 家具・家電・日用品 | 非課税 | 生活用動産 |
| 通勤用の自動車・バイク | 非課税 | 生活用動産 |
| 書籍・CD・DVD・ゲーム | 非課税 | 生活用動産 |
| ブランドバッグ(30万円超で売却) | 課税(譲渡所得) | 1個30万円超の貴金属等 |
| 金・プラチナのインゴット | 課税(譲渡所得) | 貴金属の譲渡 |
| 金のアクセサリー(30万円超) | 課税(譲渡所得) | 1個30万円超の貴金属 |
| 宝石・ダイヤモンド(30万円超) | 課税(譲渡所得) | 1個30万円超の宝石 |
| 高級腕時計(30万円超) | 課税(譲渡所得) | 1個30万円超の貴金属等 |
| 骨董品・美術品(30万円超) | 課税(譲渡所得) | 1個30万円超の書画骨とう |
| 趣味用・レジャー用の自動車 | 課税(譲渡所得) | 生活に通常必要でない資産 |
注意すべきは、「30万円」の基準は購入時の価格ではなく、売却時の価格(買取額)で判定されるという点です。購入時に50万円だったバッグを15万円で売った場合は非課税ですが、購入時に10万円だったアクセサリーが金相場の上昇で35万円の買取額になった場合は課税対象です。
譲渡所得の計算方法
課税対象となる品物を売却した場合、「譲渡所得」として所得税が計算されます。譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除(最大50万円)
それぞれの項目を説明します。
売却価格
買取業者やフリマアプリで実際に受け取った金額です。
取得費
その品物を購入したときの価格です。購入時のレシートや領収書があれば、その金額を取得費として計上できます。購入時の価格が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として使うことが認められています(国税庁タックスアンサーNo.3258)。ただし、概算取得費を使うと取得費が大幅に低くなり、課税額が増える可能性があるため、購入時の証憑はできるだけ保管しておくことが重要です。
譲渡費用
売却にかかった経費です。買取業者までの交通費や、フリマアプリの販売手数料、送料などが該当します。
特別控除(年間50万円)
国税庁タックスアンサー(No.3152「譲渡所得の計算のしかた」)によると、総合課税の譲渡所得には年間で合計50万円の特別控除が認められています。この50万円は、その年に発生したすべての総合課税の譲渡所得(短期・長期合算)から差し引くことができます。
つまり、課税対象となる品物を売却しても、売却益(売却価格 − 取得費 − 譲渡費用)が年間50万円以内であれば、譲渡所得はゼロとなり、税金はかかりません。
具体的な計算例
例1:金のインゴットを売却した場合
5年前に80万円で購入した金のインゴットを、2026年に150万円で売却した場合を計算してみましょう。
売却価格150万円 − 取得費80万円 − 譲渡費用0円 = 譲渡益70万円
ここから特別控除50万円を差し引くと、課税対象となる譲渡所得は20万円です。保有期間が5年を超えているため「長期譲渡所得」に該当し、この20万円の2分の1である10万円が他の所得と合算されて総合課税の対象になります。
例2:ブランドバッグを売却した場合
3年前に35万円で購入したエルメスのバッグを、40万円で売却した場合です。
売却価格40万円 − 取得費35万円 = 譲渡益5万円
特別控除50万円の範囲内なので、この場合は税金がかかりません。ただし、同年に他にも課税対象となる譲渡所得がある場合は合算される点に注意してください。
例3:衣類やゲームソフトを売却した場合
日常的に使っていた衣類やゲームソフトを合計3万円で売却した場合、これらは生活用動産に該当するため、金額に関わらず非課税です。確定申告の必要はありません。
金・プラチナの売却と支払調書
金やプラチナの地金(インゴット)を売却した場合、買取業者は税務署に「支払調書」を提出する義務があります。具体的には、1回の取引で売却額が200万円を超える場合に支払調書の提出が必要とされています(所得税法第225条第1項第14号)。
つまり、200万円超の金を売却すると、税務署にはその取引情報が自動的に通知されます。確定申告が必要なのに申告しなかった場合は、税務調査の対象となる可能性がありますので、正確な申告を心がけてください。
なお、200万円以下の取引であっても、課税対象に該当する場合は申告義務があります。支払調書の有無と申告義務は別の問題です。

フリマアプリでの売却と税金の関係
生活用品の売却なら非課税
メルカリやヤフオクで不用品を売却した場合も、税金のルールは買取業者に売った場合と同じです。生活用品の売却なら非課税、30万円超の貴金属等なら課税対象です。
「転売」や「せどり」は事業所得・雑所得になる可能性
注意が必要なのは、営利目的で継続的に商品を仕入れて販売している場合です。いわゆる「転売」や「せどり」に該当する活動は、不用品の売却ではなく「事業」とみなされ、事業所得または雑所得として課税される可能性があります。
国税庁は「営利を目的として継続的に行っている場合は、事業所得又は雑所得に該当する」としています。具体的な基準は明確に定められていませんが、仕入れと販売を反復継続して行い、利益を得ることを目的としている場合は、税務上の事業として扱われるリスクがあります。
確定申告が必要になる具体的な条件
以下のいずれかに該当する場合は、確定申告が必要です。
- 30万円超の貴金属・宝石・美術品を売却し、年間の譲渡益が50万円を超えた場合
- 金・プラチナを売却して課税対象となる譲渡所得が発生した場合
- フリマアプリ等での販売が営利目的と判断され、雑所得が年間20万円を超えた場合(給与所得者の場合)
逆に言えば、生活用品の不用品売却のみで、30万円超の貴金属等を売っていなければ、確定申告は原則不要です。
所有期間による税率の違い
課税対象となる譲渡所得は、品物の所有期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。
短期譲渡所得(所有期間5年以内)
取得日から売却日までの所有期間が5年以内の場合は、短期譲渡所得に分類されます。譲渡益(売却価格 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除)の全額が他の所得と合算され、総合課税の対象となります。
長期譲渡所得(所有期間5年超)
所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得に分類されます。この場合、譲渡益の2分の1だけが課税対象となります。つまり、長期保有の品物を売ったほうが税負担は軽くなります。
なお、特別控除50万円は短期譲渡所得から先に差し引き、残りがあれば長期譲渡所得から差し引く順序となっています。
確定申告のやり方
課税対象に該当する場合は、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行います。必要な書類と手順は以下の通りです。
必要書類
- 確定申告書(国税庁のe-Taxサイトまたは確定申告書等作成コーナーで作成可能)
- 売却時の明細書や買取証明書(売却価格を証明するもの)
- 購入時の領収書やレシート(取得費を証明するもの)
- 譲渡費用の領収書(交通費、手数料など)
- マイナンバーカードまたは通知カード
申告の手順
- 国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)にアクセスする
- 所得の種類で「譲渡所得」を選択する
- 「総合課税の譲渡所得」の項目に、売却価格、取得費、譲渡費用を入力する
- 特別控除50万円が自動計算される
- 他の所得(給与所得など)と合わせて税額を計算する
- e-Taxで電子申告するか、印刷して所轄税務署に提出する
取得費が不明な場合の対処法
購入時のレシートを紛失して取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費として使うことが認められています。ただし、例えば100万円で売却した金を概算取得費で申告すると、取得費は5万円となり、実際の購入価格が50万円だった場合と比べて課税額が大幅に増えます。購入時の記録はできるだけ保管しておきましょう。

よくある質問(FAQ)
Q1. メルカリで年間30万円分の不用品を売りました。確定申告は必要ですか?
生活用品(衣類、家具、家電、日用品など)の売却であれば、金額に関わらず非課税です。確定申告の必要はありません。ただし、1個30万円を超える貴金属・宝石・美術品の売却が含まれている場合は、その分について譲渡所得の計算が必要になります。
Q2. 金のネックレスを25万円で売りました。税金はかかりますか?
1個の売却額が30万円以下であれば、生活用動産の非課税ルールが適用され、税金はかかりません。ただし、金のインゴット(地金)は生活用動産ではなく投資用資産として扱われるため、金額に関わらず課税対象となる場合があります。
Q3. 相続で受け取った品物を売った場合、取得費はどうなりますか?
相続で取得した品物の取得費は、被相続人(亡くなった方)が購入した際の取得費を引き継ぐのが原則です。被相続人の購入価格が分かれば、その金額を取得費として使えます。不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費とすることができます。
Q4. 買取で得たお金を申告しなかったらバレますか?
金やプラチナを200万円超で売却した場合、買取業者から税務署に支払調書が提出されるため、取引の事実は税務署に把握されます。また、税務署は銀行口座の入出金を調査する権限を持っています。無申告が発覚した場合は、本来の税額に加えて無申告加算税(最大20%)や延滞税が課されます。
Q5. 副業でフリマアプリ転売をしています。確定申告の基準を教えてください。
営利目的の転売は「雑所得」または「事業所得」に該当します。給与所得がある方(会社員など)の場合、雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。この20万円は売上ではなく、売上から仕入れ値や経費を差し引いた利益(所得)で判断します。なお、住民税の申告は所得が20万円以下でも必要です。
Q6. 自動車を売却した場合は税金がかかりますか?
通勤や日常生活で使用していた自動車の売却は、生活用動産として非課税です。ただし、レジャー目的のスポーツカーや趣味用の車両は「生活に通常必要でない資産」に該当し、売却益が出た場合は課税対象となります(国税庁タックスアンサーNo.3105)。
Q7. 確定申告を忘れた場合、後からでも申告できますか?
はい、期限後申告として後からでも申告は可能です。ただし、法定申告期限を過ぎると無申告加算税(原則15%、50万円超部分は20%)が課される場合があります。期限後1か月以内に自主的に申告した場合は加算税が免除される特例がありますので、気づいた時点で速やかに申告してください。
Q8. 不用品を寄付した場合も税金がかかりますか?
不用品を無償で寄付した場合は、収入が発生しないため所得税はかかりません。なお、一定の要件を満たす認定NPO法人等への寄付であれば、寄附金控除(所得控除または税額控除)を受けられる場合があります。
まとめ
買取で得たお金に税金がかかるかどうかは、「何を」「いくらで」売ったかで決まります。日常生活で使っていた物の売却は原則非課税。ただし、1個30万円を超える貴金属・宝石・美術品や金のインゴットの売却は課税対象です。課税対象でも年間50万円の特別控除があるため、多くの場合は実際の税負担はゼロか軽微で済みます。判断に迷ったら、国税庁タックスアンサーを確認するか、税務署・税理士に相談してください。
本記事は2026年4月時点の税制に基づいています。税法は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁の公式サイトでご確認ください。